日本の外国人労働者の現状2
外国人労働者法律支援 Migrant Worker マイグラント研究会
日本の外国人労働者の現状 2
外国人労働者の日本的特徴
日本にどれくらいの外国人労働者がいるかをみておきたい。厚生労働省や法務省の統計によると次の通りである(2006年段階)。専門的・技術的労働者(大卒留学生や風俗従事者が大半)18万人、定住者(主に日系人労働者で、中国人、フィリピン人に増加がみられる)37万人、技能実習生(研修生含む)9万5000人、留学生のアルバイト(許可された資格外活動)11万人、不法残留者17万人などで合計92.5万人である。
外国人労働者の数は、政府統計をみるとあまりにも少なく、韓国・朝鮮籍や配偶者等、不法就労の実態をみると、200万人をこえており、労働力人口の約5%を占めている。
ここで日本的特徴をみておきたい。まず、第一に日本の外国人労働者は、他の先進国と比べても、合法就労が圧倒的に少なく、不法就労が大半を占めている。第二に、雇用形態をみると、直接雇用が益々減少し、間接雇用が急速に増大している。これは、派遣、請負が増加していることを意味しており、送り出し国と受け入れ国である日本との間で、違法派遣や偽装請負をもたらすブラックマーケットが存在していることを示している。第三に、間接雇用による就労は、ピンハネ、サービス残業、最賃法違反の時給、パスポートの取りあげ、罰金制度などの劣悪な労働条件で働かされている結果となっている。第四に、合法滞在・合法就労のなかでも、風俗産業の外国人女性労働者と研修生の問題がある。女性労働者は、実際上人間扱いされず、売春を強要され、タコ部屋(不衛生過密な居住場所)に住むなど奴隷労働を強制されている。研修生は、2002年に比べ2倍以上に増加し、2006年では7万519人となり、JITCOの統計では2006年で9万2000人強にまで増加している。
このような外国人労働者の構成やひどい実態は、自然に生じたものであろうか。絶対に、このことは自然現象ではない。正確にいうならば、日本政府の政策と法によってつくりだされたものである。日本政府は、外国人労働者政策として、単純労働者排除・不法就労防止・単純労働の部分開放・少数の合法就労受け入れという四つの要素の政策を採用している。この結果、全体の10分の1に満たない合法就労外国人(10万人強)を受け入れ、部分開放として日系人労働者と研修生を受け入れ、不法就労外国人の就労・権利侵害実態を野放しにするというきわめて御都合主義的な政策を、日本政府はとりつづけている。また合法就労外国人といえども、日本の非正社員・間接雇用の増加のなかにあって、日本人に比べて優遇されている状況にないことも断っておく。
(大阪経済法科大学教授 村下 博)
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